控訴審での裁判には、控訴棄却の決定、控訴棄却の判決、原判決破棄(差戻し・移送・自判)の判決、公訴棄却の決定があります。
控訴棄却の決定
控訴の申立てが法令上の方式に違反し、または控訴権の消滅後にされたものであることが明らかなときになされます(385条)。
さらに、以下のいずれかの場合にも控訴棄却の決定がなされます(386条)。
- 控訴趣意書の提出期間内に控訴趣意書を提出しないとき
- 控訴趣意書が不適法であるとき、または控訴趣意書に法律もしくは裁判所の規則の定めるとことに従い必要な疎明資料等を添附しないとき
- 控訴趣意書に記載された控訴の申立の理由が、明らかに控訴理由にあたらないとき
控訴棄却の判決
弁論を経て、控訴の申立てが法令上の方式に違反し、または控訴権の消滅後にされたものであるとき(395条)、および控訴理由にあたらないときに言渡されます。
原判決破棄の判決
控訴理由が認められるときに言渡されます(397条1項)。また、職権で原判決後の刑の量定に影響を及ぼすべき情状について取調べた結果、原判決を破棄しなければ明らかに正義に反すると認めるときは、原判決を破棄できることとされています(同条2項)。破棄した場合、控訴審裁判所は、差戻し、移送または自判のいずれかをしなければなりません。
原判決を破棄するときは、判決で事件を原裁判所に差し戻し、または原裁判所と同等の他の裁判所に移送しなければなりません。ただし、控訴審裁判所は、訴訟記録並びに原裁判所および控訴審裁判所において取調べた証拠によって、直ちに判決をすることができるものと認めるときは、自判できるものとされています(400条)。
公訴棄却の決定
原裁判所が不法に公訴棄却の決定をしなかったときになされます(403条)。
控訴事件の終局区分の割合
平成26年司法統計によると、控訴申立件数5,890件のうち、控訴棄却(決定・判決)は4,141件、取下げは1,152件、原判決破棄(自判・差戻し・移送)は558件、公訴棄却は39件、となっています。控訴申立件数に占める比率について、控訴棄却は70.3%、取下げは19.6%、原判決破棄(自判・差戻し・移送)は9.5%、公訴棄却は0.7%となっています。
なお、取下げは検察官からなされることはまずないので、全て被告人側からなされ一審の有罪判決が確定しているものと考えられます。